「アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集い」、略称SAGA(「サガ」と発音します)について説明します。
チンパンジー(およびボノボ)、ゴリラ、オランウータンの3属4種に分類される大型類人猿は、現存するものとしてはヒトに最も近縁な生き物です。
かれらは、CITES(サイティース、通称ワシントン条約)において、「絶滅の危機に瀕した種」として分類されています。
ヒトはどのような進化をとげたのかを理解するうえで、これら大型類人猿の研究はきわめて重要です。
野生の大型類人猿の生態について、日本をはじめ世界の研究者がこれまで研究を続けてきました。
その研究成果は広く一般に知られていますが、熱帯林の減少とともに野生の暮らしそれ自体が脅威にさらされていることが判明しています。
野生個体数の把握はきわめて困難ですが、かれらがすみかとする熱帯林の減少、部分的な地域での生息数調査の結果から、野生個体数は近年急速に減少していると推測されています。
一方、飼育下での研究もおこなわれてきました。一般には、動物園でかれらの姿を見ることができます。
SAGAが発足した1998年当時、日本にはチンパンジー388個体がいました。
そのうちの237個体が動物園で、138個体が製薬会社で飼育されていました。
ゴリラは37個体、オランウータンは57個体が動物園で飼育されていました。
(なお2010年現在の数は、チンパンジー335個体、ゴリラ24個体、オランウータン52個体です)。
本会は「アフリカ・アジアに生きる大型類人猿を支援する集い(Support for African/Asian Great Apes)」と称します。 略称は、頭文字をとってSAGA(サガ)です。サガは、英語では「たくさんのエピソードから成る長い物語」を意味します。 チンパンジーについては、1986年に、アメリカ・シカゴ科学院に世界中から結集したチンパンジー研究者が、「チンパンジーの自然保護と飼育のための委員会(略称CCCC)」を組織しました。 SAGAは、その精神を受け継ぎ、 1)チンパンジーだけでなくより広く大型類人猿全体を包括し、 2)研究者だけでなくより広汎な人々を対象にした集いです。 野生であるか飼育下であるかを問わず、また研究であるか否かを問わず、大型類人猿に関心をもってくださる方々にご参集いただき、その研究・飼育・自然保護の現状と将来について皆で考えようという集いです。 サガは、1998年11月19日に発足しました。その記念シンポジウムは、「アフリカ大型類人猿の研究・飼育・自然保護」と題して、愛知県犬山市で開催され、約300名の参加者がありました。 招待講演者として、ジェーン・グドール(英国)、ヤン・ファンホーフ(オランダ)、アレクサンダー・ハーコート(米国)のお三方をお招きしました。 国内については、研究者や動物園関係者だけでなく、製薬企業、関係省庁、自然保護活動団体、報道メディア、そして大型類人猿に関心をもっていただいている一般の方々に広く呼びかけ、参集していただきました。 SAGAシンポジウムは、1998年以来、毎年1回、11月に開催されてきました。 2010年11月には、横浜で第13回SAGAシンポジウムが開催されます。 これらの報告やお知らせについては、このホームページのシンポジウムの欄を参照してください。
この地球上には数百万・数千万の生命が共存しています。 彼らは、47億年とも言われる地球の歴史を、われわれ人間とともに生き抜いてきました。 その象徴が大型類人猿であり、かれらはいわば「進化の隣人」です。 大型類人猿やテナガザル類、その他の霊長類、さらに系統的に離れた生命に思いをはせ、自然や環境に目を向けるのが、SAGAの活動のめざすところです。 SAGAは、いわゆる専門家だけが集まる「学会」ではありません。 一般の人々に開かれた、だれでも参加できる「集い」です。義務は何もありません。参加費も無料です。 大型類人猿に関わる人々が、かれらに関心をもつ一般の方々とともに、その将来を考え、共通する目標に向かって手を携えていく集いです。 SAGAが掲げる目標は、発足シンポジウムにおいて「大型類人猿の研究・飼育・自然保護にかんする提言」としてまとめられた以下の3項目です。
1) 野生の大型類人猿とその生息域を保全する
2) 飼育下の大型類人猿の「生活の質(QOL)」を向上させる
3) 大型類人猿を侵襲的な研究の対象にせず、非侵襲的な方法によって人間理解を深める研究を推進する。
(原典は1998年11月19日発行、2010年10月31日微修正した)
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